《古書・古本の出張買取》 京都・全適堂 の日記
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森田純一郎『句集 街道』(東京四季出版)より
2024.03.27
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2024年
「かつらぎ」主宰
第4句集
色持たぬ忠雄の館冬に入る
また雨か呟き聞こえ峠の忌
玉虫の飛ぶや物部氏の墳に
縁日に日除はみ出す物多し
義援乞ふ声涸れ募金箱の灼け
郡山廓跡にも金魚飼ふ
人も樹も背高き国に黄落す
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新谷壯夫『句集 山懐』(俳句アトラス)より
2024.03.26
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令和1
「鳰の子」同人
第1句集
越えてきし雪嶺仰ぐ野天風呂
万葉の地を一望に登高す
生煮えの返事が多し着ぶくれて
一切の音を消し去り瀧の落つ
恵方とて子の住む国へはるばると
駆け抜くる風のかたまり競べ馬
結論を迫る御…
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大田羅漢子『句集 喜寿』(文學の森)より
2024.03.23
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平成18
「赤楊の木」同人
第1句集
咳く度に帽灯ゆれてゐる坑夫
虹消ゆる人棒立ちとなりにけり
坑夫辞めて農に生きんか葱坊主
流産の汗拭きやれば妻泣けり
立ち上る波のうしろの五月闇
白き息四方より一教師に満つ
河童忌の…
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酒井久美子『句集 絵本の海』(ふらんす堂)より
2024.03.21
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2024年
「玉梓」同人
第1句集
冬日射まつすぐ生きよと父の声
火を追ふ火闇煌々とお山焼
生き急ぐなかれと伏すや春の風邪
お山焼炎太古の闇を駆く
落花頻り父を葬りし日のやうに
行く春や弥陀半眼に光るもの
げんげ田に心…
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犬飼孝昌『句集 土』(菜の花会)より
2024.03.18
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平成4
「菜の花」同人
第1句集
着膨れて肩で押すドアすぐしまる
村雪解ビニールハウスきらめける
月の夜の稲穂一粒毎見ゆる
悴む手ほぐし子の嘘聞きてをり
春愁の色鉛筆を鋭く削る
飛んでゐる限り華麗に秋揚羽
木の瘤にまろ…
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伊藤政美『句集 二十代抄』(菜の花会)より
2024.03.14
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平成25
「菜の花」主宰
第一句集『二十代』のリメイク
雨の中雨の走れる白雨かな
稲雀追われ隣の田に下りる
やわらかき肩とふれゆく秋祭
野を枯らし尽し凩人に吹く
燐寸擦るや夜の雪景動揺す
万緑へ柩軽々出て行けり
海明け…
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片桐和子『句集 雪韻』(遊牧社)より
2024.03.10
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1996年
「菜の花」同人
第1句集
ドア細く開けて雪ん子入れてやる
軒先につららが太る喪の家族
一戸づつ出てはかげろふ郵便夫
夕日射すすでに冷たき松の幹
夕立に打たれしものを全て脱ぐ
月が出るつらら太れるだけ太り
墓…
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三宅みち子『句集 刺羽』(東京四季出版)より
2024.03.04
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平成2
「運河」「春日野」同人
第1句集
猫通り犬通りゆく蕗の薹
風花のとび行けるもの消えしもの
月浴びてゐること知らず線路工
日輪の円の中にも雪降れり
薄氷を指で沈めて手を洗ふ
うららかや島の黒牛犬と寝て
長梅雨や犬…
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山根啓作『句集 啓明』(朱雀俳句会)より
2024.03.01
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平成24
「朱雀」同人
第1句集
右よしの左いせぢや風薫る
村小町踊りの背に団扇差し
掌の蛍に温みあるごとく
落日のさらけ出したる大枯野
ポケットの中に鳴り出す初電話
長老の一番乗りの寒稽古
牛蛙鳴き出し句座の盛り上が…
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泉田秋硯『句集 二重唱』(文學の森)より
2024.02.22
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2008年
「苑」主宰
第十句集
大袈裟に風を演出雪柳
備へてもいくさはするな武者幟
おおと呼ぶ禰宜のテノール山開
百層の窓の夕焼落伍なし
片蔭を刺客のごとく急ぐなり
榠櫨据ゑ一対一の黙くらべ
存分に鬼舞はせけり神の留…