《古書・古本の出張買取》 京都・全適堂 | 日記 | 『長田等集(自註現代俳句シリーズ七期18)』より

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《古書・古本の出張買取》 京都・全適堂 の日記

『長田等集(自註現代俳句シリーズ七期18)』より

2017.06.17

初蝶の水の上きて濃くなりぬ

咳こらへゐしが祈りのうちに咳く

掌ひらけば掌に何もなしいなびかり

聖書まで転がり毛糸玉止まる

冬すみれ吾子に聖句を口うつし

雲の峯いつも伏目の修道女

揚雲雀空のふところにて遊ぶ

台風一過まづ豆腐屋の笛が来る

雑踏を出て来し胸に赤い羽根

啓蟄や書架にぎつしり神学書

突端と知りて長考かたつむり

一指づつ拭ふ白桃食べし指

枯蔦の尖端水にとどかざる

点眼のあとの右目に冬の雁

雪に足あと藤村のゆきし道

刃の上を走りて逃げし油虫

てのひらのくるみよ自問また自答

高稲架を解きて湖北のすべて見ゆ

いのちあるものを曳く蟻爆心地

創世記より紙魚出でて曝書かな

母の追伸柿のこと栗のこと

一呼吸置いて同時にもぐる鳰

弾かれて一鉄片の金亀虫

ばらの名を覚えて次の薔薇の前

さくら貝透きて生命線の上

水を飲むときも真顔の羽抜鶏

急流の杭の一本づつに雪

口はさむいとまあたえず行々子

口はさむ余地をあたへず行々子(檜紀代)があるが偶然か。


ほうと声あげたるあとの白牡丹

深祷の指を解かざる寒牡丹

大滝の現れてふたたび霧に消ゆ

大滝の倒れくるかと思ふとき

白に徹して白鳥の気品かな

キリストの奇蹟を信ず麦は穂に

草笛の少年いまだ海を知らず

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