《古書・古本の出張買取》 奈良・全適堂 | 日記 | 直江裕子『句集 櫻時計』(ふらんす堂)より


2023/12/14
直江裕子『句集 櫻時計』(ふらんす堂)より




1998年
「京鹿子」同人
第1句集

柚子に刃を入れてわたしは浮かんでいる

榠樝投げ榠樝とる子ら空うてり

寒林をまっすぐ抜ける角度あり

コスモスを泳ぎふるさと遠すぎる

いちにちは雪の白さのままでいる

鉄線花別れ話を図解して

飲んでも呑んでも凍星がついてくる

いち日を激しく茄子はやわらかく

遠花火恋のくだりは顎をひき

白菜を裂く音だけで今朝はいい

さっきまでの椿の空間が重い

夏掛や遠からずくる死の形

こすもす揺れる行きたいところあるように

はまなすや佐渡に願という地名

あめんぼの躓くほどの水の疵



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