《古書・古本の出張買取》 奈良・全適堂 | 日記 | 泉田秋硯『句集 二重唱』(文學の森)より
2024/02/22
泉田秋硯『句集 二重唱』(文學の森)より
2008年
「苑」主宰
第十句集
大袈裟に風を演出雪柳
備へてもいくさはするな武者幟
おおと呼ぶ禰宜のテノール山開
百層の窓の夕焼落伍なし
片蔭を刺客のごとく急ぐなり
榠櫨据ゑ一対一の黙くらべ
存分に鬼舞はせけり神の留守
人の世を見過ぎし十畳凧おろす
野火奉行武蔵のごとく棒かざす
タップでも踏もか地虫に出でよとて
囀の此処を静かな場所といふ
日本刀抜けば飛びつく新樹光
孤独なる父の日競馬場にても
海遊館
まんばうと玻璃対面や文化の日
帰省子に麻婆豆腐辛くせり
黙祷の声にいや増す蝉時雨
棉の実を吹いてみたくて唇を寄す
栗拾ふ熊そつくりの四つん這ひ
人の眼に曝されどほし牡丹散る
走るなり寝るなりどうぞ大花野
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