《古書・古本の出張買取》 ロバの本屋・全適堂 | 日記 | 平栗瑞枝『句集 花蘇枋』(ウエップ)より
2025/01/13
平栗瑞枝『句集 花蘇枋』(ウエップ)より
2010年
「清の會」会員
第1句集
髪切つてきのふと少し違ふ春
聖五月少女のかひな象牙色
風の向きひとつにあらず夏の山
きつと来てくれる寒紅ひいてみる
大花野降車ボタンの指すべる
芹摘みを終へたる爪に血が戻る
雲の峰ぐらりとフェリー出航す
相続のひとつは蝮蛇多き森
滝凍るきのふの音を閉ぢ込めて
舞ひ終へてなほ神の所作里神楽
牛の尿ながなが三寒四温なる
つちふるや机ひとつの相談所
囀りや船長自転車で帰る
あぶなげに来てあざやかに水落す
囀りや海のホテルの玻璃づくめ
フラスコに逆さのわたし春深む
太陽へ切つ先むけて剪定す
花火師の背中もつとも昏かりき
七節のひとふし虹を摑みたる
風花や母との暮らし疎に密に
カステラの切り口は崖春の暮
紫陽花の駆け込み寺へ雨宿り
流氷の重なり合へる昏さかな
クリスマスキャロルガラスノエレベーター
舟賃は硬貨一枚水澄めり
やはらかし初音聞きたる耳ふたつ
帰省子に窓も心も開けておく
紙切つて聖樹に銀の雪ふやす
雑炊を吹く風神の顔をして
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