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《古書・古本の出張買取》 ロバの本屋・全適堂 の日記

悟りの内容

2014.03.09

禅に「啐啄同時」という言葉があります。

雛が殻を破ろうと内側からつつくのと、親鳥が外側からつつくのが同時で殻が割れる。
禅で言うところの悟りの内容とは至極単純ですが、ひどく難しいものとしてみなされています。

たとえば、カラスが「カー」と鳴いたら忽然悟ったとか、お隣の奥さんが洗濯物をパンッと広げたら悟ったとかそういう話。出典は忘れました。
で、後者の僧は、それからその奥さんに会うたびに拝礼したというのですが、奥さんにとっては何のことだかという感じでしょう。
これらはまさに啐啄同時ですが、カラスや奥さんはたまたま機の熟した内側から破ろうとしていた僧を外側からつつく役割をもった刺激に過ぎない。いわゆるシンクロニシティ、共時性ですが、たまたま僧にとって意味があっただけのこと。

では、僧は何を悟ったのか。
いわく言いがたしとなるのですが、私なりの言い方をすれば、森羅万象は生に立脚しており、また自身もそうで、人生をすべてだと思い込んでとらわれていたものが、実は人生は単に生の一部に過ぎなかった、そういうところでありましょう。

「私」という個人は人生という枠内で作られ、人生において使われるもので、単なる道具。
人生とはすなわち、「私」の人生なのですから、「私」=人生。
生は誰のものでもありません。よって分離がない。

人類が抱えるしんどさ、悩みというものはすべてこの分離から生じています。
「私」が人生の道具であることを見て取れず、確固たるものとして永続させること、これこそが人生の最大の目的となってしまいます。

先日、みなみ会館でうつ病のドキュメンタリー映画を見ました。
ものすごく本を読んで勉強してヨガをやったりしてがんばっている人が、欝が治るには希望が必要なのだろうというようなことを最後に述べていました。
最後にそこかよ、と。
夢や希望や楽しさは求めて持つものではなく結果としてあればあるというだけのもの。
あればいいし、なくてもいい。カラスの「カー」や洗濯物の「パンッ」は求める必要のないことを悟ったとも言えるでしょう。
また、あらゆる心理的苦悩は、個別的に分析しても実は意味がない。分析は苦悩をちょっと紛らわせて先延ばしにしているだけなのです。なぜなら、述べてきたようにそれはあくまでも人生の枠内でしかないから。人生へのこだわりがそもそもの問題視の原因となっているので、それをそのままにして苦を完全に取り除くことなどできません。

ヤギスケの「メー」で忽然と悟る人も現れるやも知れません、ね。
写真は鴨川を散歩中に出会ったヌートリア。外来種のネズミでかわいらしいのですが、生態系を壊すというので駆除されています。

最近は遠出が多くなっています。
福知山にも出張し、来週は大阪南部の大学へ。
遠方でも本の内容次第でお伺いいたしますので、まずはご一報ください。

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