《古書・古本の出張買取》 奈良・全適堂 | 日記 | 秋元不死男『句集 甘露集』(角川書店)より

◎近畿一円、出張いたします。 一般書から学術書・専門書、現代から江戸(和本)まで。

Top >  日記 > 秋元不死男『句集 甘露集』(角川書店)より

《古書・古本の出張買取》 奈良・全適堂 の日記

秋元不死男『句集 甘露集』(角川書店)より

2022.06.14



昭和52。
「氷海」主宰。第4句集。遺句集。

禁書冴ゆ赤鉛筆の削り粉も

一面の霜種牛が床を蹴る

殺されて流れきし蛇長すぎる

七夕や履いて石噛む妻の下駄

瀬を跳んで青年櫛を落す夏

頁繰る音も別れに似て冴ゆる

狂院のどこもちがはぬ鍵の冬

投げあげて旅の空透く虚栗

菊の胸葬火に消えてしまひけり

海しぼる双眼鏡の西東忌

蜜柑盗みに山猿がくる雨がくる

盲目の声はねかへす霜の崖

木の実踏む庵をめぐりて四十歩

墨すつて昼暗くせり雪催

闇汁やはさみて鼻の如きもの

マスクして一言居士が樹を撫でる

秋燕の影を行かしむ選句稿

てのひらが風花のせてうきたがる

満開の花の中なる虚子忌かな

心経に不の字無の字や誦みはじむ

戦なき原に山羊鳴く初景色

火だるまの秋刀魚を妻が食はせけり

満開の梅万雷の桜かな

時の日の日がわが影を石に描く

酒好きに酒の佳句なしどぜう鍋

遠き世も入日に草矢放ちしか

大滝の吼えてみ空の機嫌かな

時雨去りあとはみぞるる熊の檻

書く書くと言ひて書けざり世は桜

梅雨つづく起てる薬は無いものか

ねたきりのわがつかみたし銀河の尾(絶句)


日記一覧へ戻る

【PR】  理容かたやま  ブランド時計専門店GINZA RASIN  Chiho International Academy 青山校  完生堂薬局  神戸洋服