《古書・古本の出張買取》 京都・全適堂 の日記
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大田羅漢子『句集 喜寿』(文學の森)より
2024.03.23
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平成18
「赤楊の木」同人
第1句集
咳く度に帽灯ゆれてゐる坑夫
虹消ゆる人棒立ちとなりにけり
坑夫辞めて農に生きんか葱坊主
流産の汗拭きやれば妻泣けり
立ち上る波のうしろの五月闇
白き息四方より一教師に満つ
河童忌の墨のたちまち乾くかな
山頭火忌の穭田を通りけり
かまくらの中のぬくさを誰も言ふ
耕すやひとりに深き峡の空
黒豆のふつくら煮えて山に雪
眠りたる山の相聞青丹よし
神将の目のうるみたる花粉症
日本に帰化の茅の輪をくぐりけり
くろがねの鯉立ち上る蛇笏の忌
うからの訃やからの婚や十二月
沙汰なくば炬燵ばなしに殺さるる
篁を雨の過ぎゆく端午かな
空狂ふほど白鳥の来りけり