《古書・古本の出張買取》 京都・全適堂 の日記
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新谷壯夫『句集 山懐』(俳句アトラス)より
2024.03.26
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令和1
「鳰の子」同人
第1句集
越えてきし雪嶺仰ぐ野天風呂
万葉の地を一望に登高す
生煮えの返事が多し着ぶくれて
一切の音を消し去り瀧の落つ
恵方とて子の住む国へはるばると
駆け抜くる風のかたまり競べ馬
結論を迫る御仁にまあビール
百座まで残すは五岳汗涼し
置き去りのあの日あの時フクシマ春
お松明練行衆のシルエット
身動きのできぬ鉾町こんちきちん
猫の尾のふれて弾ける鳳仙花
ふるまひは地酒地魚浦祭
しくじりも芸のうちなり猿回し
豆撒を待つ輪ぢりぢり縮まりぬ
受験子へ立看板の檄の列
山の神田毎に迎ふ春祭
力車マンけふも榕樹に三尺寝
涼しさや後ろ姿の修行僧
広島忌禎子・オバマの折りし鶴
鮎落ちて尖る瀬の音風の音
眠れども耳眠らせぬ竈猫