《古書・古本の出張買取》 ロバの本屋・全適堂 の日記
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ありがたや
2014.09.29
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暇愛でる暇愛でる暇愛でる秋
秋うらら暇愛でる暇ありがたし
といった句を詠んでいてふと、言葉どおりに脳は反応するというのを思い出し、一般向けにこういうのをやればいいのではと思いつきました。
ありがたや○○○○ありがたや
二つのありがたやの間の中七に感謝しているものをはさむ。
よく、ありがとうを一日何百回言うだとか、感謝の気持ちをつねにもってとかいうのがあり、基本的には同じ考えに立っていますが、どうもそれらは自己啓発的・宗教的・教条的な気持ち悪さに誘われてしまう。私の感性がむず痒さを感じるのです。
結局どう表現したいかは自分で決めるのがいちばんなのですが、この句形式のよいところは最初に「ありがたや」で何はなくとも感謝の言葉から入り、次に内容、さらにその内容に対して同じく感謝の言葉とダメ押しのように脳に心に刻印される点にあります。
また、ありがとうではなく「ありがたや」としたところに遊び心が入って凝り固まらない。
とりあえず私の作った句を例として掲げます。
ありがたや暇愛でる暇ありがたや
ありがたや足元にヤギありがたや
ありがたや去勢成功ありがたや
ありがたや腹が減るこれありがたや
ありがたや淡路島ゆきありがたや
ありがたや胡麻大好きにありがたや
ありがたや寛げるカフェありがたや
ありがたやこの秋日和ありがたや
ありがたや隠居生活ありがたや
ありがたや朝晩静坐ありがたや
ありがたやヤギにみな笑むありがたや
ありがたや本の買取ありがたや
ありがたや少食で済みありがたや
ありがたや何はなくともありがたや
ありがたや豆腐が旨いありがたや
ありがたや山羊メーと鳴くありがたや
・・・といくらでもこれなら作れるでしょう。
とくに俳句や川柳の作法を知らなくても簡単に。
易しいながらパワーは絶大。どこかの誇大広告のような文句ですが、私はやっていて楽しくなってきました。お気に召せばお試しください。
脳というのは単純でしてね、自分の言ったことに引きずられる。
駄目だと言えば駄目だと思うし、かといって駄目ではないと言っても駄目だと思う。
つまり、最初の言葉に反応するというわけ。
ポジティブ思考、ネガティブ思考というのも自己啓発的で分別しているので本来は好きではないのですが、どうせ言うならポジティブなものにしたほうがいいでしょうね。
ただし、根底はニュートラルでなくてはなりませんが。
ニュートラルが教条的にも宗教的にも堕さない、分別なしに分別するポイントですから。
ちなみに句にもありますが最近、胡麻がマイブーム。
煎り胡麻なら白胡麻、黒胡麻、金胡麻問わず。
胡麻は添え物というイメージがありますが、そのままバリバリ食べる。
アーモンドそっくりの食感で美味。
大学時代、一度だけ同級生の家に行ったことがありました。
殺風景なマンションの一室で壁にはポスターも何もないのですが、ただ1枚だけ貼られていたものが。
彼のおばあちゃんが書いた「ま・ご・わ・や・・さ・し・い」。
何もない部屋にそれだけ貼られたあったのが可笑しかったのですが、いいおばあちゃんだなあと。ちなみに意味は健康な生活のための食材の頭文字をとったもの。
「ま=豆類 ご=胡麻(種実類) わ=わかめなど海藻類 や=野菜 さ=魚 し=椎茸などきのこ類 い=芋類」
これをおばあちゃんから送られた孫の学生はたしかに優しい子ではありました。
ただ、勉強は苦手でふにゃふにゃしていたのでおそらく辞めてしまったのではないかと思われます。裕福な家なのに通信制にしたのは入学が容易だからでしょう。しかし、卒業は比較的難しい。
胡麻を食べ初めて昔のエピソードを思い出した次第。
写真は貨幣の寛永通宝。
江戸時代の和本にはさまっていたものですが、残念ながら貨幣価値はほとんどなし。
