《古書・古本の出張買取》 奈良・全適堂 | 日記一覧

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《古書・古本の出張買取》 奈良・全適堂 の日記

中野湘舎『句集 五叉路』(本阿弥書店)より

2020.09.04



2014年。
「春風」同人。第1句集。

人日の戦略会議始まりぬ

雪積むと母の便りの短くて

野辺送りすませて薄き蜆汁

巨人戦の切符出てきし曝書かな

商売の相手も夏に負けてをり

これがかのローレライなり船遊び

雨止めば遅…

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橋本多佳子『句集 命終』(角川書店)より

2020.09.02



昭和40年。
第5句集であり遺句集。

老いの顎うなづきうなづき紙を漉く

紙漉のぬれ胸乳張る刻が来て

露晒し日晒しの石桔梗咲く

「脚下照顧」かなぶんぶんが裏がへり

落日に群衆が透く川施餓鬼

蒟蒻掘る尻がのぞきて吉野谷

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尾池和夫『句集 瓢鮎図』(角川書店)より

2020.08.19



2017年。
「氷室」副主宰。第2句集。

比良八荒比良の見えざる荒れじまひ

暑つおすな生きとゐやしたん逢ひとおす

あと一つ星飛べといひ星飛べり

君そこに花に埋もれるやうに立て

湖を渡り切つたる夕立かな

この鰤は氷見…

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有本銀河『句集 秋の虹』(青磁社)より

2020.08.09



2014年。
「白露」「椎の実」所属。第1遺句集。

冬麗の空に入らむと観覧車

青梅雨や画廊のひとの眸すみ

たかんなの糶や仁王の脇を借る

寒禽の声はねかへす石舞台

白砂に日の斑の散華鑑真忌

賑はひの巷にピエロ阪神忌

空…

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橋本美代子『句集 プラハの月』(角川書店)より

2020.08.01



2008年。
「七曜」主宰。第5句集。

永平寺雪解の溝に雪を捨つ

馬の顔ルオーの基督めく朧

そこここに落石そこに岩すみれ

花仰ぎつつ目的は別にあり

山藤をくぐり方位の狂ひたり

しやぼんだま避けてはくれぬ松の幹

一日中…

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野田節子『句集 糸車』(霜林発行所)より

2020.07.25



昭和55。
「霜林」同人。第1句集。

舟小屋に舟無き浦曲暮遅し

湖見えて旅のはじまる花菜風

春ふかし初めて貰ふ子の名刺

湖魚売の呼ばれて返す東風の橋

春寒し拭へどくもる銀の匙

ゆく春の椅子ふかく見るミレーの絵

波見つ…

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鷹羽狩行『句集 十六夜』(角川学芸出版)より

2020.07.14



平成22。
「狩」主宰。第16句集。

音なきを山の音とや大旦

初富士の刃の反りを裾野まで

一枚の明るさを置く薄氷

下萌の月明りにもわかるほど

白梅の咲くに弾みのつきはじむ

春めくやわだちのなかの深轍

刃をたつるごとき…

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明石志都江『句集 白日傘』(玉梓発行所)より

2020.07.11



令和2年。
「玉梓」同人。第1句集。

眠さうな太陽の塔うららけし

目借時膝の書物のすべり落つ

若作りして覗き込む初鏡

チューリップ私やつぱり赤が好き

夕暮れの風をさがしてゐる風鈴

夫の顔時々眺め梨を剥く

小流れの落葉…

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鷹羽狩行『句集 十五峯』(ふらんす堂)より

2020.07.09



2007年。
「狩」主宰。第15句集。

年迎ふ山河それぞれ位置に就き

添へ書きはみな声もちて年賀状

一枚の凧一枚の海の上

老病死愛恋選句始かな

太陽へ雪間それぞれ声をあぐ

啓蟄や庭よりあがり稿を継ぐ

川上に鉄橋の弧や…

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茨木和生『句集 真鳥』(角川書店)より

2020.05.17



2015年。
「運河」主宰。「晨」同人。
第12句集。

木の化石木の葉の化石冬あたたか

見し夢のことのはてさて忘初

春駒の鞍外されて走りけり

ひと谷をとよもすこともほととぎす

滝の水かつて棚田も養ひき

蟻抓み抓み損ね…

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