《古書・古本の出張買取》 ロバの本屋・全適堂 の日記
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作用と反作用
2015.10.09
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ある事柄に対し、一喜一憂する。
それは自然な感情でしょう。
生まれては喜び、死んでは悲しむ。
しかし、生まれたからには死ぬということがセットになっている。
生と死は同じ程度の強さを持っていると言ってもいい。
机を押す力は机から押し返される力と等しい。
作用と反作用という法則はあまりにも公平で、あまりに真実。
自力と他力もそう。
禅は自力か、念仏は他力か、という話がくだらないのもそう。
自分は自分と言えば自分であり、自分でないと言えば自分でない。
自他の区別は生死と同じく、本来は表裏一体。
自が生まれれば他も同じ程度に生じる。これは避けられない。
ネガティブ思考、ポジティブ思考というものが昔から好きでないのもこういうこと。
ネガとポジというのは本来、写真用語らしいです。
陰と陽が反転されているだけ。どちらが良い悪いというものではない。
体が固いからダメだと思うのはネガティブ思考、固いから柔らかくなる可能性があるとするのはポジティブ思考。
生まれたときは柔らかかったわけですから、柔らかくなる可能性がある。
固くなる可能性と柔らかくなる可能性、これは作用反作用で等しい。
昔から中庸や中道といったものが説かれたのも、本来そういうものだと。
偏れば当然反動が来る。
だからと言って、無反応でいればいいということではありません。
生まれれば喜び、死ねば悲しむのははじめに申した通り、自然。
ですが、喜んだと同じ分、悲しみはやって来る。
道端で100円拾って儲かったと思う。
しかし、反作用で100円を落とした人がいるのも事実。
落とした人がいるから拾った人もいる。
勝負事で勝った人がいれば負けた人がいる。
得れば失い、作れば壊れる。
作用は反作用と同時に存在します。
なんと厳しく、なんと優しい法則なのでしょうか。
写真は本に埋もれるうしお。
読書の秋、読書のヤギ。
