《古書・古本の出張買取》 ロバの本屋・全適堂 の日記
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きくちきみえ『句集 港の鴉』(ウエップ)より
2025.01.31
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2015年
「やぶれ傘」会員
第1句集
スチールの机西日に吞み込まれ
踝のカクカク動く浴衣の娘
文化の日踵のつかぬ椅子にをり
自づから崩るることもかき氷
秋空の高みへ落ちてゆく心地
辣韭をこんなに漬けてひとりとは
去年…
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池川紀子『句集 地球儀』(角川学芸出版)より
2025.01.27
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2013年
「櫟」同人
第1句集
咲き満ちてふはりと軽き桜の木
まばたきもせず卒業の歌うたふ
干草の牛舎にかをる良夜かな
鮎跳ねてしばし光を残しけり
大寒の全き月の兎かな
朝寒の肘とがらせて矢を番へ
風船を空へ逃がして…
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渡邊たけし『句集 野仏』(文學の森)より
2025.01.19
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平成24
「若竹」同人
第1句集
をさな子のつかみそこねて浮いてこい
幼な子に少し法螺ふく橋涼み
秋暑し角のつぶれし文庫本
秋篠の秋は天女の笑みのなか
ミニ鳥居並べ初売神具店
足らざるを知り足るを知る青林檎
鈴屋を訪う…
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金子兜太『句集 百年』(朔出版)より
2025.01.14
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2019年
「海程」主宰
第15句集
地を叩くよう鴉鳴く夏だ
一二の灯やがて無数の寒灯し
声美し旅の隣の姫始め
水鳥に石放うらんとして耐える
春の駅一人の声が馬鹿でかい
人間が集まり植樹はじめたる
ふらここが亡妻(つま…
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平栗瑞枝『句集 花蘇枋』(ウエップ)より
2025.01.13
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2010年
「清の會」会員
第1句集
髪切つてきのふと少し違ふ春
聖五月少女のかひな象牙色
風の向きひとつにあらず夏の山
きつと来てくれる寒紅ひいてみる
大花野降車ボタンの指すべる
芹摘みを終へたる爪に血が戻る
雲の峰…
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谷田明日香『句集 父の筆』(ふらんす堂)より
2025.01.07
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2020年
「風土」同人
第1句集
蟻出づるをじつとしやがんで男の子
一蹴りで筍倒す男の子
ありなしのしづくに震ふ鴨足草
恋の鹿真夜の線路を突つ切つて
自転車を押して行かうか紅葉晴
天高し口引き結び馬上の子
靴に泥滲ま…
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加藤楸邨『句集 猫』(ふらんす堂)より
2025.01.05
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1990年
「寒雷」主宰
猫の句をセレクトした句集
恋猫の皿舐めてすぐ鳴きにゆく
満月やたたかふ猫はのびあがり
蟷螂の斧向けられし猫の顔
子を奪られ鳴きながら猫肥りゆく
生れたる猫の子われの膝と逢ふ
ペン擱けば猫の子…
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須藤昌義『句集 巴波川(うずまがわ)』(角川書店)より
2025.01.02
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2016年
第1句集
「海原」編集長 「枻」同人 「琉」会員
第1句集
薄氷に昨夜の風筋残りをり
白雲の端つかまんと蕨出づ
守衛所の仕事納の鍵の束
薄氷を踏めば彼方の水動く
星となる火の粉もあらむお水取
老優の科白のごとく…
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夏井いつき『句集 伊月集 梟』(朝日出版社)より
2024.12.26
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2020年
第2句集
「いつき組」組長
冬帝やことに手強きジャムの蓋
荒星や老いたる象のような島
風花を待つべく青空のととのう
淡雪や離婚届のうすみどり
泪より少し冷たきヒヤシンス
咲きかねし梅にみくじのきゅっとかな
…
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中山純子『句集 華鬘』(本阿弥書店)より
2024.12.25
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1996年
「風」同人
第4句集
七月や木登りの足現はるる
暑気中りきりきり臍のありどころ
立山に雲をとばして鯉のぼり
そよりともせず餓鬼飯の饐ゆるかな
みどりごをころがす畳星祭
大黄落大雁塔を讃へをれば
島の春パパイ…