《古書・古本の出張買取》 京都・全適堂 の日記
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菊地寿美子『句集 朴の花』(角川書店)より
2024.04.18
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2017年
「未来図」同人
第3句集
夕ぐれの匂ひたぐれば朴の花
紫陽花やピカソに靑の時代あり
初蝉の逢魔が時を試し鳴く
海の日の煮魚のまなこ取り落とす
学徒吾が十五の日記曝しけり
一つ陽を享け白芙蓉紅芙蓉
ふるさとの…
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林朋子『句集 眩草(くらら)』(北溟社)より
2024.04.10
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2002年
「船団の会」「晩紅塾」
第2句集
外套の中を出たがるアフォリズム
母の家までに片寄るさくら餅
夏掛の母を流れてしまひけり
父と子と聖霊の御名により蓑虫
鮟鱇のかならず点る魚図鑑
後頭に柱親しき麦の秋
視野の…
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あべみゑこ『句集 寒咲きあやめ』(本阿弥書店)より
2024.04.03
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2017年
「松の花」同人
第2句集
どうやら無月ステーキの匂ひ来る
立冬の五感すべての尖りかな
ベートーベンのやうな二月の青鷺よ
夏雲やスペインの土真つ赤赤
少年の臍美しく泳ぎ出す
ねぎ坊主個性を出せと言はれても
篝…
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柴田奈美『句集 黒き帆』(ふらんす堂)より
2024.04.02
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2007年
「銀化」「天弓」同人
第2句集
妬心とはこの色鶏頭かたまつて
マフラーを解けば粉雪部屋に舞ふ
男除けの盾にはあらず白日傘
神々の戦稲妻二打三打
風鈴の舌に乾きし風当たる
蜩や静かにその人を赦す
白息の続く限…
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森田純一郎『句集 街道』(東京四季出版)より
2024.03.27
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2024年
「かつらぎ」主宰
第4句集
色持たぬ忠雄の館冬に入る
また雨か呟き聞こえ峠の忌
玉虫の飛ぶや物部氏の墳に
縁日に日除はみ出す物多し
義援乞ふ声涸れ募金箱の灼け
郡山廓跡にも金魚飼ふ
人も樹も背高き国に黄落す
…
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新谷壯夫『句集 山懐』(俳句アトラス)より
2024.03.26
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令和1
「鳰の子」同人
第1句集
越えてきし雪嶺仰ぐ野天風呂
万葉の地を一望に登高す
生煮えの返事が多し着ぶくれて
一切の音を消し去り瀧の落つ
恵方とて子の住む国へはるばると
駆け抜くる風のかたまり競べ馬
結論を迫る御…
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大田羅漢子『句集 喜寿』(文學の森)より
2024.03.23
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平成18
「赤楊の木」同人
第1句集
咳く度に帽灯ゆれてゐる坑夫
虹消ゆる人棒立ちとなりにけり
坑夫辞めて農に生きんか葱坊主
流産の汗拭きやれば妻泣けり
立ち上る波のうしろの五月闇
白き息四方より一教師に満つ
河童忌の…
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酒井久美子『句集 絵本の海』(ふらんす堂)より
2024.03.21
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2024年
「玉梓」同人
第1句集
冬日射まつすぐ生きよと父の声
火を追ふ火闇煌々とお山焼
生き急ぐなかれと伏すや春の風邪
お山焼炎太古の闇を駆く
落花頻り父を葬りし日のやうに
行く春や弥陀半眼に光るもの
げんげ田に心…
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犬飼孝昌『句集 土』(菜の花会)より
2024.03.18
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平成4
「菜の花」同人
第1句集
着膨れて肩で押すドアすぐしまる
村雪解ビニールハウスきらめける
月の夜の稲穂一粒毎見ゆる
悴む手ほぐし子の嘘聞きてをり
春愁の色鉛筆を鋭く削る
飛んでゐる限り華麗に秋揚羽
木の瘤にまろ…
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伊藤政美『句集 二十代抄』(菜の花会)より
2024.03.14
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平成25
「菜の花」主宰
第一句集『二十代』のリメイク
雨の中雨の走れる白雨かな
稲雀追われ隣の田に下りる
やわらかき肩とふれゆく秋祭
野を枯らし尽し凩人に吹く
燐寸擦るや夜の雪景動揺す
万緑へ柩軽々出て行けり
海明け…