《古書・古本の出張買取》 ロバの本屋・全適堂 の日記
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滝のある暮らし
2011.07.11
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3日連続の滝通い。
途上に立ち並ぶ北山杉が美しい。
人工の美と自然の美が一体になっている。
民芸運動では「用の美」と表現されるが、用=美になっている。
この一帯は、川端康成の『古都』の映画の撮影に使われ、古都保存区域に指定されたんだとか。
バイクで30分ほどで着き、険しい山道を登らなくともよい便利な場所にある。
しかし、この3日間で数時間いたにもかかわらず、出会ったのはカップル1組のみ。
比較的近場の滝としては、よい滝だ。
京都なので大きな滝ではないが、高さの割に太い流身である。刀で言えば脇差のよう。
素足を水に浸し、さらさらした砂がとても心地よい。
この砂は丸太を洗うのに使われるそうである。
滝壺は深いので、打たれることはできない。
その傍までは泳いでいける。
ちょうど平らな岩があるので、寝っ転がる。
木々の間の青空、通り過ぎる雲、様々な形の岩、水の流れ、緑の楓が線香花火のようにきらめき、鮮やかな蜻蛉が岩陰から飛び出してくる、そういうものを飽かずに見ている。陽の当たる角度が変わって、蜘蛛の糸が張ってあることにも気づく。
滝と川の響きは岩に共鳴し、私の存在を下支えするように、途切れることなく響いている。
滝の傍では喉も渇かない。
町中は36度の猛暑だが、それを忘れそうな気の澄んだ場所である。
至福の時至福の滝で過ごしけり
ひとっ滝浴びひと仕事ひとっ風呂
