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《古書・古本の出張買取》 ロバの本屋・全適堂 の日記

松尾寺の仏たち

2015.12.08

少し日が経ちましたが、舞鶴の松尾寺(まつのおでら)に参詣してまいりました。先日、舞鶴の静坐会に参加したことはお話ししました。その主宰の松尾心空和尚がおられるお寺。1300年の歴史を持つ西国三十三か所のうちのひとつです。

まず本堂にお参り。本尊はめずらしい馬頭観音。観音でありながら明王を兼ねているので憤怒の表情だという。口をしっかり結んでいるが、実は奥の厨子に秘仏のもう一体の馬頭観音像があるそうです。その像の口は開いており、一対の阿吽像となっているとのこと。おもしろい。馬に乗っているのでこれもご縁かもしれません。

それからもっとも見たかった霊宝殿へ。舞鶴でもっとも有名な寺でありながら霊宝殿を見に来るのは1日に多くても15人程度。拝観したいというと、和尚さんが待ってくれている。心空和尚が直々にわたし一人のために説明をしてくださいました。和尚の『歩行禅 呼吸のくふうと巡礼の瞑想』(春秋社)を購入したからでしょうか。この本には、静坐のことも書かれており、呼吸について読みやすくなっていて結構お勧めです。「結構?」と和尚には言われそうなので、「大いに」と言っておきましょう。

舞鶴ではこの松尾寺に唯一国宝があり、平安時代の仏画「普賢延命菩薩像」がそれです。
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象に座るやわらかい表情の菩薩で、シンメトリーかと思いきや、象から垂れている4本の飾りは微妙に違いがあり、それがかすかな揺れを表現している。ここが鎌倉期との違いできっちりしたシンメトリーは強さを表現しますが、微妙な揺れが平安のやわらかさの象徴のようです。鳥羽天皇ゆかりの絵で、密教の修法に用いられるので本来は蝋燭のぼんやりした灯りのもとで見ると雰囲気が出るのでしょう。ガラス張りの蛍光灯に照らされているのは本来のあり方ではない。経年劣化で彩度が落ちているのでいたしかたありませんが。霊宝殿に入って最初に目に留まったのが仁王像。仁王門の左右に実物がなく、写真だけが飾られてあったのでどうしたのだろうと思っていたらこんなところに。劣化が激しいので中で保存するようになったと。目の前で見るとすごい迫力。これは鎌倉期だろうと思っていたら、どうもそのよう。東大寺の仁王像とよく似ているそうです。次に快慶作の阿弥陀如来像(写真)。
密教の寺なのに阿弥陀如来像と私も思っていましたが、阿弥陀如来を密教ではどうとらえるかが問題になり、覚鑁上人によって密教的浄土教なるものが確立されました。大日如来の表れが阿弥陀如来だとし、阿弥陀信仰と融合されたということらしい。快慶初期の作品なのでどっしりしていていいのですが、ついつい「金もってこいや。」と言われているように思えてしまう。それはさておき、みごとな腹ですね。そのほかにも仏画の「孔雀明王像」や「法華曼荼羅」などの重要文化財も見ごたえがあります。

残念なことに雨が降っていたのもあり、紅葉はあまりきれいではありませんでした。今年は気候のせいでだいたいそのようですね。霊宝殿を後にすると、私が古書店主ということもあって、貴重な文献の保存庫に連れて行っていただきました。しかも最後は台所でお茶をいただいてお暇しました。和尚は「霊宝殿から台所まで」と笑っておいででした。

その間、うしおは車の中でお留守番。隣につけた車に乗っておられた方がうしおをじいっと観察していました。高速道路の途中、道の駅に寄ったのですが、実はそこでもお見かけしたんです、と。丹波の道の駅から舞鶴の松尾寺まで。これまた奇遇。おそるべしご縁ですね。京都縦貫道が貫通したので、舞鶴まではずいぶん近くなりました。舞鶴の静坐会は豪雪地帯のため、12月から3月まではお休みですが、天気の良いころを見計らってお出かけしてみてはいかがでしょうか。冬は大変でしょうが、海も近く実に気に入りました。

本日は、北区へ解体作業の現場に入りました。ごった返し感が半端ではなく、なぜか本棚はなく、すべて箱や袋に入っておりました。ずいぶん手間取りましたが保存状態のよい本も多く、ジャンルも武道やヨガ、神秘思想など、おもしろく発掘作業ができました。解体業者や不動産業者の方のご依頼も歓迎いたします。お気軽にご相談ください。

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