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《古書・古本の出張買取》 ロバの本屋・全適堂 の日記

楽をしないことがもっとも楽

2016.02.17

「お楽にという言葉が一切を破壊する。」といった意味の言葉を岡田虎二郎は述べている。

楽にしてくださいと言われれば、腰が落ち、腹の力が抜け、身体のバランスを崩してしまうことになる。 実は楽にしているようでいて、楽なのはある面だけであり、別の面に負担がかかっているというのが本当のところではないか。 たとえば腰が落ちると腹の力が抜け、顎が前に出る。そうすると首や腰に痛みが出てくる。つまり、腹や胸が楽になっただけで首や腰は悲鳴をあげているということ。それがつらいからと逆に反り腰にしても腰は硬くなり、やはり痛めてしまうことになる。

先日、久しぶりに寄ったカフェで古くなった椅子の一部が交換されていた。 写真の黒いのが新しいほう。これに座ると、腰が沈み、腹に力が入れにくい。しかし、お客の多くはこの黒い椅子のほうに座っていた。

楽にしていると思っていても、実際は負担がかかっているのである。日本人はあぐらをかくが、あぐらは腰が落ちて顎が出る姿勢になりやすい。それでは困るので坐禅では、結跏趺坐、もしくは反跏趺坐で尻に座布を敷いて腰を立てるということをする。 気を抜けばすぐに腰の入らない、いわゆる腰抜けの姿勢になってしまう。

近ごろ体軸や体幹が重要視されているように見受けられるが、これは前後左右の力の方向が拮抗して軸や幹としての身体意識が現れるのである。 前後左右とも同等にバランスが取れていること、これが本当は楽な姿勢というものなのだが、型が失われていった日本ではある程度修練を積まなければその言わんとすることは理解できないだろう。 力まずに力が入る状態が瞬間瞬間に実現されるべきものである。気が抜けない状態をつねに保つこと。腹の力を抜くのは寝るときだけだと岡田は言う。

静坐は身体のバランスを整えるのに最適である。 お楽にが一切を破壊するものと言い、「静坐は安楽の法門」とも言う。 同じ楽でも、意味合いがまったく違う。気の抜けた楽と気の入った楽。どちらの楽を選ぶか。

楽をしないことがもっとも楽

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