《古書・古本の出張買取》 ロバの本屋・全適堂 の日記
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言葉(脳)を揺らがせる
2016.04.09
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乗馬の行き帰りの桜があまりに美しく、幽玄の美しさに包まれていました。
(写真はいまいちですが)
京都も町中は散り始めていますが、京北は見事に咲き誇っています。
こういうときは俳句が浮かんで来ようとしますが、なかなか完全な形にならないことが多い。
それを無理に形にしようとはせず、大体こんな感じと言葉を揺らがせておく。
そうすると、脳は目的をもつとその目的に向かって自動的に働きますから、しっくりくる言葉を探して来ようとする。
いきなり確固としたこの言葉で行くというようにせず、言葉を、つまり脳を遊ばせておきながら徐々にぴったり来るものを見つけるようにさせる。
俳句だけでなく、実際のさまざまな場面でこの方法は有効です。
ある程度方向性だけを定めておいて、どこへ帰着させるかは脳に任せる。
我々は目的を追うのではなく、目的がやってくるのを待つことになります。
やってくるのを見守るのが我々の役目とも言えましょう。
そうやって上がってきた句
花びらのやはらかさわが心へと
廃校に今年も淡き桜かな
日本の美は幽玄の美だと思います。
京北は桃もきれいでしたが、やはり桜。くっきりした色より淡い桜色に惹かれてしまう。
本居宣長の有名な歌「しきしまのやまと心を人とはば、朝日ににほふ山ざくらばな」は見事にその心を表しています。
外国の人に日本とはと聞かれ、日本を見せようというときには、まっさきに桜が浮かぶ。
輪郭のはっきりしない生と死の境もあやふやな空気感が日本的。朝日に匂うですから。
写真の仏像は乗馬クラブで祀られている馬頭観音。
馬頭観音にしては、とても柔和ですっきりしていて気に入っています。