《古書・古本の出張買取》 ロバの本屋・全適堂 の日記
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変はる身につまさる冬の鴉(カフカ)かな
2017.01.13
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変はる身につまさる冬の鴉(カフカ)かな
カフカはチェコ語で鴉という意味だそうです。
Twitterのフランツ・カフカbotで発信されるカフカの言葉から、その洞察力と言葉のセンスにインスパイアされています。
カフカと言えば『変身』『審判』『城』を若い時分に読み感銘を受けましたが、小説でない彼自身の言葉を知りませんでした。
興味をもって、カフカと親しかったヤノーホの『カフカとの対話』を読む。
カフカの思想の核はこれだというのはおそらくないでしょう。
あるとすれば、「私は孤独ですーフランツ・カフカのように」の言葉が象徴しているのかもしれません。誰とも比較できない孤独。
カフカとシュタイナーは同時代に生き、シュタイナーのことは知っていましたが、あまり理解できなかったようです。
ただカフカは純文学と思われているものの、たしかにそうでしょうが神秘家としての眼を明らかに備えています。
1、2年前に集英社文庫ヘリテーズシリーズより出た「カフカ」をこれから読もうと思っています。
文庫とはいえ、800ページほどになるのでなかなかの分量。
小編や書簡が集められています。
有名どころは「変身」ですが、多和田葉子さんの訳では「かわりみ」と読ませている。
ヘッセの『車輪の下』を『車輪の下で』とした訳本があります。
少しの変化が大きく変化させる。これはまさに俳句と同じ。読むのが楽しみです。
白息を吐き影震ふ唇や
これもカフカの言葉を俳句に仕立てたもの。
ひさかたの光と信ず日向ぼこ
「ひさかたの」は光の枕詞ですが、太陽もいずれは消滅する。
しかし、冬の日の中にいると一瞬が永遠だと思われてきます。