《古書・古本の出張買取》 ロバの本屋・全適堂 の日記
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白息に力卒寿の話しぶり
2017.01.20
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白息に力卒寿の話しぶり
90歳の方の話に力がこもる。
耳が遠くなってくるので聴くことは捨て、話すことに力を集約させているよう。
人の話は聴かずしゃべる、それが元気につながっているのかもしれない。
聴きすぎるのもストレスならちょうどいいのかも。
人間は口腔生物。口と肛門の管がもともとだと見ることもできる。
人は口から生まれ、耳は捨てても口だけは生涯発達しようとするのか。
肩が凝るのは動かさないからだが、口が凝ることはそうはない。
スエタ着しゲーテをギョエテ言ひしころ
スエタはセーターの昔の言い方。そのころはゲーテをギョエテと言ったりしていた。
外国語と日本語の発音は一致しないので、時代によっても表記がまちまちになる。
紅深く水子地蔵の毛糸帽
水子地蔵の毛糸帽の赤さは血の色のよう。
この世に生れなかった分、その生を主張しているかのような色。
いや、生者がその主張を汲んで。まさに鎮魂。