《古書・古本の出張買取》 ロバの本屋・全適堂 の日記
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宋いまだ遠つ国かな実朝忌
2017.02.17
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盆梅に凝縮したる気品かな
小さきほどの気品かな。
陽炎や言ひ値骨董市の壺
外で行われている骨董市。
値づけも決まったものはなく。
売っている者もよくわかっていなかったりする。
宋いまだ遠つ国かな実朝忌
陰暦の一月二十七日は、鎌倉三代将軍、源実朝が甥の公暁に殺された日。
実朝は、宋から来た僧にかつて医王山の長老であったと言われた。
それを信じ、宋に渡ろうと船を建造したが船は浮かばず朽ちてしまう。
宋は実朝の頃も遠い国であったが、いまもなおか。
<実朝の歌>
神といひ仏といふも世の中の人の心のほかのものかは
神や仏も人の心と別にあるものならず。
東風吹かば匂ひおこせよ梅の花主なしとて春な忘れそ
菅原道真の本歌取りとしてあまりに有名な歌。
まるで自身の死を予言していたかのよう。
世の中は常にもがもな渚漕ぐ海人の小舟の綱手かなしも
これも百人一首に入っている有名な歌。
静かに小舟を漕ぐ船頭。この平和を噛みしめている詩人。