《古書・古本の出張買取》 ロバの本屋・全適堂 の日記
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朗読の耳に途切れし目借時 陸沈
2017.04.17
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朗読の耳に途切れし目借時
大山崎山荘美術館にて。
漱石先生の講演&朗読。
アンドロイド製作の権威、石黒浩氏の監修。
漱石はこの山荘の名付け親を頼まれたことからここを訪問。
約100年ぶりの再訪となる。
声は孫の夏目房之介氏の声を元に構成。
淡々としていながら上手い朗読。心地よさに眠りに陥ってしまう。
ユーモアを交えた講演で、司会者との息もぴったり。朗読は「夢十夜」と「私の個人主義」の一部を聴く。
6講演と激務をこなして東京に戻られた。
写真は漱石の句碑。
「宝寺の隣に住んで桜かな」
山荘名づけの依頼主に当てたあいさつ句。
宝寺は宝積寺と言って、大黒天を祀って商売繁盛の寺とされている。
聖武天皇が龍神から授かったとされる「打出」と「小槌」も祀られている。
一般に「打出の小槌」と言われるが、「打出」と「小槌」は別物のようだ。
枝垂れ桜
射干
山吹
根拠なき自信に満ちて花辛夷
根拠なき自信というのは昔から私が使ってきた言葉。
根拠がある自信というのは根拠がなくなるとなくなってしまうものだからそこに依存してはいけない。
ということを十代で言語化したが、昨年出た中島芭旺くんという10歳が書いた『見てる、知ってる、考えてる』(サンマーク出版)に載っていた。
10歳で言語化できることのすごさ。
年齢ではない。100歳まで生きても思いもつかない人がほとんど。
枯れ残る椿になんの力あらん
枯れ切っているのに落ちない椿を見た。
何の力も残っていないのに落ちない不思議。