《古書・古本の出張買取》 ロバの本屋・全適堂 の日記
-
仏師彫るごとに春光散りにけり 陸沈
2017.04.23
-
仏師彫るごとに春光散りにけり
奈良国立博物館の快慶展を鑑賞。
これだけ一堂に快慶仏が並ぶのを見る機会はそうはない。
快慶といえば、運慶。運慶といえば快慶。両者は康慶に学び、兄弟弟子の関係になる。
快慶の作風は飛鳥や奈良のような土俗的な感じを抜け、平安の雅さと鎌倉の凛々しさの両者を兼ね備えているように見える。
もっとも多い阿弥陀如来立像などは、軽やかにすっと動き出しそうなファッションモデルのよう。
舞鶴静坐会の主宰の和尚のおられる松尾寺の阿弥陀座像も見られた。
左は東京芸術大学所蔵。右は滋賀の石山寺所蔵。
ともに大日如来座像だが、東京芸大のほうがずっと味があるように感じられる。
掲句は快慶の彫っている姿を想像して詠んだものである。
暮れ泥む伽藍を枝垂櫻かな
東大寺にも寄り、夕方近くなって詠んだ句。
天地に触れて囀やはらげる
これも東大寺で。
天地へ届いてはじめて囀りは満足するかのよう。