《古書・古本の出張買取》 ロバの本屋・全適堂 の日記
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高木理子『句集 はないちもんめ』(文學の森)より
2018.05.03
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靴跡より春の雪解け通学路
鼻筋は母ゆづりなり仔馬立つ
全山の花もて包む蔵王堂
石仏の落花に溺れゐて笑まふ
象出して象舎を洗ふ春の昼
ゆりかごの琵琶湖残して鳥帰る
踊子草踊り疲れて地に伏せる
道巾の雲の峰立つ先斗町
炎天来し試練をひとつ越えて来し
水打つは今日の終止符夕茜
網戸して声筒抜けの暮しかな
一茎の姿勢正しく蓮開く
釣忍しばらく夕日吊つてをり
町家カフェ築百年の隙間風
鬼のまま終る遊びや暮早し
大阪弁値切る迫力歳の市
歩かねば冷凍人間雪霏々と
棒立ちの水位標なり川涸れて
大袈裟な追儺の鬼の乳房揺れ
結社「玉梓」同人の方の句集です。