《古書・古本の出張買取》 ロバの本屋・全適堂 の日記
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黛まどか『ら・ら・ら「奥の細道」』(光文社)より
2018.07.05
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20年前に書かれたもの。
俳人の黛さんが奥の細道の行程をたどりながら、自身の俳句と軽妙な文章を綴っている。
とにかく芭蕉愛があふれている。彼女の写真も豊富。
もうそれなりのお年にはなっているだろうが、俳人でこれほど美しく華やかな人はそうはいないだろう。
今は知らないが、メディアの露出度が高いのも頷ける。
行きつけの店の店主が一度来たことがあるよ、と。でも普通の人でしたよ、と。
高齢化甚だしい俳句界で、やはりこういう人が出て来ないと若い人は入りづらい。
俳人をやっていればいつかお会いできるだろうか。結社をお持ちのようだが女性限定みたいだし。
花冷の上り框に蹄疵
月山へ尾を跳ね上げて鯉のぼり
秋風に最初の言葉つまづけり
秋思ふと水を受けたる掌
涼しさや男二人に通ふもの
君に似しひとを見てより秋時雨
冬ぬくしとは木の瘤に触れてより
冬を待つ姿と見たる臥竜松
恋に生き俳諧に生き去年今年
花見んと花屑に置く旅かばん
きつと大雪カーテンを開けてみる
ぬばたまの闇引き寄せて青葉木菟
薫風や知恵出し合つて読む碑文
しばらくは街を歩けり登山靴
大切なもの皆抱へ冬に入る
冬日向犬に遊んで貰ひけり
大杉の振り落としたる雪の塊