《古書・古本の出張買取》 ロバの本屋・全適堂 の日記
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角川春樹『魂の一行詩 晩夏のカクテル』(日本一行詩協会)より
2018.08.30
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カバーのピアノに置かれている手はホロヴィッツだとのこと。
ハードボイルドっぽい句は響かなかったが、心象句は抜群のセンスだと思う。
無季も混ざっている。
恋の句は君にまかすと亀鳴けり
鯥五郎なにも信じてないんだな
寂として蟻のしかばね蟻が越ゆ
五月雨や時間に似たる海がある
日盛りやカーテンのなき獄の窓
言の葉を失ふために詩を書きぬ
いつぽんの木の明るさを秋といふ
今年米ピカソの顔で食ひにけり
ひとりにはひとりの時間水の秋
邯鄲をとらへてゐたる左耳
貫きし思想のごとき冬木あり
去年今年過ぎ去るものは青を帯ぶ