《古書・古本の出張買取》 ロバの本屋・全適堂 の日記
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桂信子『句集 彩(あや)』(ふらんす堂)より
2018.10.25
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1990年。
「草苑」主宰。
著名な俳人の第8句集。
あとがきにもあるように、白を詠んだ句が多い。
前半に好きな句が多かった。
閂をかけて見送る虫の闇
白菊や一天の光あつめたる
りんご掌にこの情念を如何せむ
逢ふところまでいくたびも枯木過ぎ
ふところに乳房ある憂さ梅雨ながき
月の中透きとほる身をもたずして
窓の雪女体にて湯をあふれしむ
湯上りの身を載せ雪の夜の秤
ひとりひとりこころにありて除夜を過ぐ
薔薇挿せども空瓶になほ洋酒の香
鶏頭の一抹の朱わが生に
菊の香に薄粥われの晩年は
日傘また遠くあらはれ野の起伏
水の上に炎のひとひらや花篝
白菊に加ふるものを探し居り