《古書・古本の出張買取》 ロバの本屋・全適堂 の日記
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三宅美穂『句集 名医』(本阿弥書店)より
2018.11.15
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1994年。
「渦」同人。
第4句集。
古酒かたむけアンドロメダ大星雲
寒卵つるりと飲んで逢ひにゆく
春疾風思はぬものを運び来し
水中へ階段つづく朧月
亀の子に遊んでもらつてゐる晩年
ちぬ釣りの一人に深い昼がある
言霊の行く方知れぬ風の秋
丹頂の丹を忘れし子鶴来る
梅の実の産毛が光る見知らぬ町
木枯に森の入口開けて置く
うつかりと斧を下ろせし子蟷螂
どんぐりや森の入口賑やかに
指の間より秋夕焼けの恐ろしや
合歓の花ひらく音する空耳か
そぞろ寒語尾を誤魔化す夕鴉
寒風に仲間入りする時雨かな
蝋梅に寄り道をする風の神
炎昼の鷺に声かけ損じたる