《古書・古本の出張買取》 京都・全適堂 の日記
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飯田龍太『句集 山の影』(立風書房)より
2019.01.07
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昭和60年。
「雲母」主宰。第9句集。
収められた400句のうち、心底いいと思えたものは案外少なかった。
草紅葉してなきがらは一夜のみ
大根抜くときのちからを夢の中
踏み入りしことなき嶺も淑気かな
初夢の濤のとどまるところなし
玉蟲のいろよみがへる風の中
木の実みな熟れてさだめの時を待つ
返り花老師お臍のはなしなど
龍の玉虚子につめたき眼あり
元日の猪年といへる山の顔
湖は山の巨き眼春隣り
櫨紅葉女人その後の旅いかに
元日の山褒貶の外にあり
公魚の眼おのれの死を知らず
よく晴れて雪が好きな木嫌ひな木
鳥帰る老は出口のなき淵か
法螺貝を眞近に吹かれ山ざくら
眞近→間近?
神無月女人四五人高千穂へ
百千鳥医者が死のこと語るとき