《古書・古本の出張買取》 ロバの本屋・全適堂 の日記
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古賀まり子『句集 名残雪』(本阿弥書店)より
2019.02.12
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1994年。
「橡」同人。第6句集。
一草に秋冷走る花鋏
水際まで尺の積雪浮寝鳥
ここまでと言ひつつ生きて鬼を打つ
黄落を誘ふほむらや筆供養
放心といふ安らぎや今日四温
京菜漬けせつせと今日は女役
栄螺選る無口を楯に島男
恋雀砂におぼるる九十九里
春一番二番急かるる稿のあり
白磁展出でて銀座の梅雨青し
子雀は庭師に馴れて安居寺
祭馬瞳涼しく水を飲む
一隅も残さず炎ゆる合戦場
滝壷を十歩離れてより涼し
餌をねだる眼白頬白あたたかし
白鳥帰り沼は光を失ひぬ
天瓜粉まだ土知らぬ土踏まず
開戦日父の忌として迎へけり
虹の橋渡りゆくごと麻酔効く
冷まじや円空の書の木端書