《古書・古本の出張買取》 ロバの本屋・全適堂 の日記
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尾亀清四郎『句集 東庭』(東京美術)
2019.02.20
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昭和63。
関西雪解会会長。第4句集。
大冊を積み春宵の古書肆閑
温泉あがりに倚る柱あり河鹿宿
塀の外にこぼれて香あり松手入
弧を描きて歩みを早め木の実独楽
野点傘閉ぢて夕月紅葉茶屋
黒板に出荷の仔細牡蠣を割る
天懸る藤に吉野路いよよ嶮
比良谷に頼る一水避暑の宿
ぎんなんを拾ふにつづき落つるあり
波乗の去りたる夕べ卯浪たつ
花びらを崩して投じ牡丹鍋
寒柝の揃ひ打ちして揃はざる
日々捥ぎて今は高枝となりし枇杷
くなしりは秋あじ釣の竿の間に
松葉蟹積みて糶場の朝暁くる
熟れ加減良ければメロン匙深く
返りみて脳天打ちし栗拾ふ
外套を預けサロメを観る席に
昼を古酒夜を新酒とワイン酌む