《古書・古本の出張買取》 ロバの本屋・全適堂 | 日記 | 岩崎照子『句集 一卓一花』(本阿弥書店)より

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《古書・古本の出張買取》 ロバの本屋・全適堂 の日記

岩崎照子『句集 一卓一花』(本阿弥書店)より

2019.03.14

1987年。
「かつらぎ」無鑑査推薦作家。第2句集。
かなり共感をもって読ませていただきました。
ヨーロッパに住みたいという思いがあったようで、第1句集はなんと『2つのドイツ』というタイトル。感性が近いのでしょう。次はこの第1句集を読みたいと思います。
もう90歳を優に超えているのでご存命かどうか。

天主像ミモザの丘を統べたまふ

銅像はフロックコート鳥雲に

主峰には雲よせつけず山開き

灼けてゐる河原は仮の駐車場

雪嶺に目を離し得ず珈琲のむ

ゴッホの黄ユトリロの白冬籠

いづれが虚いづれが実の息白し

禅林の囀り力強きかな

立枯はクルスの如しお花畑

水平に壜の香水減りにけり

ハープ熄むごとく噴水とまりけり

リラ冷えをいとはずに練る陶土かな

かの一樹油彩のごとき椿かな

花疲なるやワインの酔なるや

羊追ふ一少年の跣なる

菩提山なる名に惹かれ登高す

通勤も旅路なるべし翁の忌

あんなにも削られて山眠りけり

論理には弱くひたすら毛糸編む

踏青子太極拳をはじめけり

歌劇生にあひ初蝶にあひにけり

さみだるる一枚岩の磨崖仏

母の日や読書の母をさまたげじ

矢印は未知の世界よ避暑散歩

文学の純粋を説く息白し

鱈を割く女は雪に横坐り

音楽の殿堂をわが恵方とす

朝市の烏賊虹光りして並ぶ

地に還るべき禅林の木の実かな

秋灯の書肆をオアシスとも思ふ

赤はわがラッキーカラー薔薇を買ふ

全島が牧といふべし草の花

石仏の胸をぬらしぬ望の潮

太陽にいちばん近き林檎捥ぐ

コスモスにローランサンの少女かな

デジタルの一分も又夜長かな

ニュータウンとは窓ばかり鰯雲


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