《古書・古本の出張買取》 京都・全適堂 | 日記 | 山中麦邨『句集 鵄邑(とびのむら)』(角川書店)より

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《古書・古本の出張買取》 京都・全適堂 の日記

山中麦邨『句集 鵄邑(とびのむら)』(角川書店)より

2019.12.26



平成6。
「七曜」「運河」「天狼」「圭」同人。
第1句集。
感心しました。


蜥蜴迅く走りて何のあてもなし

木に喰込む兜虫の爪引離す

新緑の動物園に馬臭勝つ

学校の長き廊下の夏休み

月に掌を差出し何を賜りし

蟷螂の前半身に闘志満つ

手の力抜きて箱より聖菓出す

上流も下流も堰かれゐる目高

今日よりは紅きものなし金魚死す

ラムネ飲む夜空の青さ限りなし

香水の一滴に妻包まれし

嬰児を抱き秋風を手で防ぐ

霧の奥見えねど直ぐに船着くらし

満月と同じ銀色水流る

騎手下りて雪に濡れたる握り拳

闇に見えぬ吾が身螢の近寄り来

菊人形に水を与へて日を当てず

向日葵に水やる直ぐに土が吸ふ

炎天のここが中心かと思ふ

金亀虫車中を飛んでとびぬけし

歌も出て急勾配に蜜柑摘む

恋猫となりて我にもよそよそし

白木蓮満開何か失へり

揚羽蝶雨つれて来る多佳子の忌

泳ぎ来し身に金銀の砂乾く

バスの屋根青葉にふれて止めてあり

大台に生まれし雲の峯さすが

稲雀降りる処の定まらず

今散りし朴の落葉に歩みよる

翔ぶ羽を見せて鴨まだとび立たず

雪降るに松は緑を失はず

落椿浅き流れはころがりて

仏には梅を供へて椿寺

今居たる風車売りもう居ない

傘さして梅雨へ出てゆく梅雨に飽き

蝉声の中蝉の声忘れゐし

竹藪は大き鳥籠笹子鳴く


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