《古書・古本の出張買取》 ロバの本屋・全適堂 の日記
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水原春郎編著『秋櫻子俳句365日』(梅里書房)より
2019.12.31
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1990年。
毎日、その日の句を読むようにして今年も終わり。
数日まとめて読む読むこともありましたが365句を読了。
やはり、「冬菊」がいちばん。
来年は、一度読んだ『虚子に学ぶ俳句365日』を再度。
獅子舞は入日の富士に手をかざす
寒牡丹白光たぐひなかりけり
べたべたに田も菜の花も照りみだる
鶯や前山いよよ雨の中
谷深くうぐひす鳴けり夕霞
馬酔木より低き門なり浄瑠璃寺
花冷や剥落しるき襖の絵
厨子の前千年の落花くりかへす
朝寝せり孟浩然を始祖として
夕牡丹しづかに靄を加へけり
靄ふかく靄より白き牡丹あり
百株の牡丹の客となりにけり
馭者若し麦笛嚙んで来りけり
曇り日は光輪うまず白牡丹
雲海や鷹のまひゐる嶺ひとつ
雲海や樹頭一禽声なくて
ナイターのやぶれかぶれや稲びかり
十六夜の竹ほのめくにをはりけり
酒しらぬ我は旅のみ牧水忌
霧こめて湯滝のほかは音もなし
夢さめておどろく闇や秋の暮
膝の上に日溜りつくる菊日和
冬菊のまとふはおのがひかりのみ