《古書・古本の出張買取》 ロバの本屋・全適堂 の日記
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小林榮子『句集 花すだれ』(玉梓発行所)より
2020.03.10
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令和2。
「玉梓」同人。
九十歳励まし合へる御慶かな
柊を挿しをり母のせしやうに
悲しみは越えねばならず冴え返る
雪混じりなる洛北の春時雨
水かけてやる墓碑にゐる青蛙
切口の鏡のやうな水羊羹
鉾町の町家町家の宵明り
山の日の京穏やかに暮れゆけり
心太何でも姉の言ふ通り
万緑や雨脚強くして太し
生きてゐるかぎりの務め盆用意
今日の花たたみ終へたる木槿かな
一人立つ色なき風の菩提寺に
仏壇は閉ざさずにおく月今宵
鳥に覚め虫に暮れゆく一日かな
この冬木にも物語ありにけり
自づから拝みたくなる雪比叡