《古書・古本の出張買取》 京都・全適堂 | 日記 | 大串章『句集 大地』(角川書店)より

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《古書・古本の出張買取》 京都・全適堂 の日記

大串章『句集 大地』(角川書店)より

2020.03.17



2005年。
「百鳥」主宰。第5句集。

海苔掻くや岩に夕日のにじむまで

ワイングラス火より生まれて涼しかり

金魚売老いて世間を諾へり

泉に手浸し言葉の湧くを待つ

菊人形生れて菊師と見つめ合ふ

白鳥を見に行く切符配らるる

雪原を来て雪山に突きあたる

探梅のしばらく梅を忘れゐる

風強き日は強く咲き母子草

春月に漁船が首を伸ばしゐる

青蜥蜴日に弾かれし如く消ゆ

水門に貝の張り付く夕立かな

少年のボート少女を攫ひゆく

滝を見る胸に羽ばたくもののあり

夜の端居だんだん過去に眼が慣れて

蝮の頭砕きし石を畏れけり

迎火を焚けば生者の寄りきたる

草の花おのれの色を失はず

少年は今もピッチャー黄葉散る

夜神楽に太古の星のひかりだす

水仙の空に抛らば矢とならむ

独楽打つて夕日に紐を垂らしたる

落葉籠百年そこにあるごとく

(水温むやうな顔して山羊の居り)

白波を敷きつめ鳥の帰りけり

山の駅受験子一人見送らる

白日傘中也の墓に金縛り

白蛇を吉兆として山家かな

雪渓や中立国の羊飼ひ

水遊びしばらく母を忘れゐる

秋澄むや山を見回す人の眼も

秋の波見つめ己を見つめゐる

鷹匠の鷹より強(こは)き面構へ

鷹匠と鷹と虚空を信じあふ

山羊の貌ゆれてゐるなり水草生ふ

郭公に目覚め晴天うたがはず

受験校決めて茅の輪をくぐりけり

海原や月へ月光のぼりゆく

秋風や箴言ふいに恐ろしき

亡き人の来て膨れたる踊りかな

立ち止まるたび裸木が寄つて来る

山寺の桜勝手に咲いて散る

出格子に声かけてゆく祭りかな

朝涼や今日為すことを箇条書

山椒魚見しより口の重くなり

新走り飲屋の猪口の変はりけり

赤絵窯燃え紅葉に挑みけり

冬木より冬木へひとり遊びの子

画架ひとつ画家ひとり山眠りけり


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