《古書・古本の出張買取》 ロバの本屋・全適堂 の日記
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堀川草芳『句集 蒼き闇』(扉俳句会)より
2020.09.18
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平成19年。
「扉」主宰。第3句集。
寒天の風の軽さに干し上がる
つぎつぎに日射しを掬ひつばくらめ
四方より眺めて終る松手入
凍滝の力こもりし白ならむ
囀に力の満つる桂の木
空蝉の風にもがきし形に落つ
木守柿信濃の空のがらんどう
木のごときフランスパンや冬来たる
ものぐさの背を押しやる涅槃西風
みづうみへ伸ばす多彩の春灯
師の詠みし噴水に来て黙祷す
己が身を引き秋天の塔仰ぐ
鳥威し張りて一村かがやける
木の影に鳥の影来る白障子
炉話をしたくなる火を継ぎにけり
竹林の初音に雨の上がりけり
山葵田の支流本流風光る
この畔もあの畔も炎の曼殊沙華
信濃柿越後の風が研ぎ出せり