《古書・古本の出張買取》 ロバの本屋・全適堂 の日記
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大杉洋子『句集 蜃気楼』(あわ書房)より
2020.10.19
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2008年。
「青海波」同人。第1句集。
大漁旗祭太鼓の破れぬか
水平に年移り行く去年今年
うぐひすの音の度ごとに杖を置く
これからは小市民なり卒業す
秒針の音の広がる小正月
屋久杉の木目細かき大西日
御宸筆たちまち汗の引きにけり
よく笑ふ分校の子等鳳仙花
シスターの背筋真ぐ十二月
雨蛙豊葦原を席巻す
青嶺踏みきし山門の大わらぢ
黒潮へ海亀の子の百二百
彼岸花咲くころ帰る母の家
千年の森千年の苔清水
坑道に頭打ちつつ岩清水
海中の城(ぐすく)よ伯父よ雲の峰
生身魂我より大き乳房もつ
夕暮れて稲の香りの無限大
海を見てなほ深くする懐手
恋の猫眠るふりして耳動く