《古書・古本の出張買取》 京都・全適堂 | 日記 | 山本一歩『句集 神楽面』(文學の森)より

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《古書・古本の出張買取》 京都・全適堂 の日記

山本一歩『句集 神楽面』(文學の森)より

2020.10.21



平成23。
「谺」主宰。第4句集。

蚊の声の辺りを二つ三つ叩く

扇風機止つてをりし羽根が透け

さりげなく揺れて蓑虫日和かな

焼藷の屋台と歩調合うてをり

降る雪の中なる雪を掻きにけり

ラムネ抜いて何か忘れてしまひけり

天の川仰ぎ見るときみな若し

マネキンの首をそのまま鳥威

剥かれある林檎に年の改まる

孤立してゐる手袋の中の指

燗熱うせよ先生の命日ぞ

蝌蚪に脚出て鯨にはもうなれぬ

蟻を見てをれば大きな靴通る

浴衣着て手足の頼りなかりけり

眠さうな目鼻を貰ふ案山子かな

雲一つなし枯るるもの枯れゆきて

すれ違ふとき白息をつつしめり

つと立ちて歳晩の雪掻きに行く

風邪薬飲んで怠けることにせむ

日が沈み菜の花はそのままの色

水温む水道水のことなれど

香水の離れて行きしどの顔ぞ

草笛の力を抜きしときに鳴り

落ち切つてゐる八月の砂時計

啄木鳥の叩きて森を広げけり

野の石と分かち合ひたる愁思かな

どこの岸からも遠くて浮寝鳥

立ててある箒に落葉集れる

人日やいささか食べ過ぎてしまひ

数へ切れぬほどの亀をりまだ鳴かず

寝返りを打ち短夜を短くす

六枚の畳と梅雨を籠りゐる

滝壷の中へ中へと音を捨つ


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