《古書・古本の出張買取》 京都・全適堂 | 日記 | 浅井民子『句集 四重奏』(本阿弥書店)より

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《古書・古本の出張買取》 京都・全適堂 の日記

浅井民子『句集 四重奏』(本阿弥書店)より

2020.11.25



2017年。
「帆」主宰。第2句集。

黒々と島立ち上がる初日の出

立春の岬が分かつ海の色

踏青やパレットに溶く風の色

踏切の向かうは海よ鰆東風

七変化三のあたりの縹色

海を見に行く白シャツの帆となつて

糠床の機嫌よろしき芒種かな

麻服の皺美しき水平線

夜の長しイサムノグチの紙ランプ

標高や触るるばかりに天の川

なびくもの伏すもの風の大花野

みやしろの美しき落葉は踏むまじく

年惜しむオペラグラスに指揮者の手

先生のあだ名五月の黒板に

白むくげ夕日に触れて落ちにけり

繰り返す自動ピアノや室の花

少年老い易く鉄棒の冬夕焼

舟底の貝を落とすも年用意

生まれ来る嬰にも大き宝船

玻璃越しの星を見上ぐる恋の猫

春手袋外す視線にさらされて

春愁や鐙の銀をまぶしみて

百千鳥未完の城の野面積

横笛の横顔の翳花かがり

千枚の一枚に鍬畔青む

山盛りのコロッケを買ふ水泳部

湧きあがる雲を見下ろす登山靴

丈高きグラス磨くも秋思かな

紅葉且つ散るや私雨の中

かたかごや揺るるはさびし揺れざるも

あを空のあを欲るさくらさくらかな

麦の秋六人乗りの乳母車

古書街に埋もるるも旅雁のころ

汀行く春のショールを翼とし

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