《古書・古本の出張買取》 ロバの本屋・全適堂 の日記
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宮崎浩枝『句集 山茶花』(玉梓発行所)より
2020.12.14
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令和2。
「玉梓」同人。第1句集。
恵方へと一番好きな道を行く
盆梅の美しき角度に椅子一つ
運針のヘの字ハの字や子どもの日
部屋隅に残るビー玉夏果てぬ
初便り漢字を確と百二歳
茶柱の二本やバレンタインの日
出番来る夫の残せし夏帽子
大男自転車いぢめ夏をこぐ
追憶は遊びの一つ日向ぼこ
ランドセル行つたり来たり霜を踏む
グローブを抱いて寝る子の初夢は
遺影にもバレンタインの日のチョコを
点滴のゆつくり入りゆく日永
何かも明日にまはさうこの暑さ
三文の徳の早起き天高し
初夢の姿見えねど母の声
父の忌を忘れてゐたり冷奴
傘寿には傘寿のくらし天高し
コスモスをゆらす風あり光あり
朝寒や一人二役してひとり