《古書・古本の出張買取》 奈良・全適堂 | 日記 | 野頭泰史『句集 空気』(本阿弥書店)より

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《古書・古本の出張買取》 奈良・全適堂 の日記

野頭泰史『句集 空気』(本阿弥書店)より

2021.01.03



2014年。
「貂」同人。第1句集。

立春の馬全身で嘶けり

山羊の目の赤らんでをり下萌ゆる

霾や隣国高度成長期

龍天にフォークに絡めスパゲティ

蜷の道引きずつて蜷歩みけり

夜桜や川一筋の鋼色

山羊繋ぐ紐の伸びゆく春日かな

嘗められて大地踏んばる仔馬かな

花びらの雨のベンチの二三片

馬の尻はち切れむばかり夏来る

食パンに山二つある夏鶯

虹消えてゆくとき人の歩き出す

サラダボウル青葉若葉の外輪山

植ゑ終へし水を引きゆく夏の鴨

紀三井寺堂を浮かべて夏木立

山法師左山科右五条

田を植ゑて近江は水の静まれり

六月の鏡のごとき水を張る

音立てて千の地蔵のさみだるる

蜘蛛すつと伊豆大島を摑みけり

紫陽花の咲いて現在過去未来

十坪ほどの暗がりであり紫蘇畑

蛸捌き捌いては投げ女衆

天球の割れて天道虫交る

声が声ふさいでゐたる蝉時雨

熊谷の三十九度の油蝉

海人の皺の深さや晩夏光

帆船の帆を休めをり星祭

裏表縦横上下西瓜かな

仰向けに車背高泡立草

天高し手も漕いでをり一輪車

人去つて人の気配や秋薔薇

鶏頭花コンクリートに亀裂入る

二百十日前後左右へ猫の耳

カステラを均等に切る良夜かな

文化の日オランウータンと向き合へる

甍より雪せり出せる永平寺

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