《古書・古本の出張買取》 ロバの本屋・全適堂 の日記
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岡田陽子『句集 子ら』(私家版)
2021.02.12
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2003年。
「七曜」同人。第1句集。
独楽まはす兄に向ひて這ひ出せり
這ひ這ひの嬰に団栗をころがせり
玩具箱にどんぐりも入れおやすみなさい
風光る陶芸の森陶の椅子
子を逃げて蝸牛葉裏にひそみをり
手の中に螢捕らへて動けぬ子
ピーマンの筋肉質を焼いてゐる
獅子舞の子らに囲まれどの子嚙も
地獄めぐり絵日記にして夏の旅
藪椿切られし幹に初日さす
若葉風あおむけにありランドセル
帰国して全身で受く花吹雪
肘つきて水仙の香と向き合へり
若葉風ピッチャーの球加速せり
一箱の林檎が占める団地の間
膝に来るまだ恋猫になれずして
鉄棒の水平に雪積りゆく
教会のマリア伏目に木の芽時
図書館の新書手に取る花は葉に
新樹光蔵に小さき窓一つ
新樹の夜チェコの弦楽四重奏