《古書・古本の出張買取》 奈良・全適堂 | 日記 | 『現代俳句の世界13 永田耕衣~』(朝日文庫)より

◎近畿一円、出張いたします。 一般書から学術書・専門書、現代から江戸(和本)まで。

Top >  日記 > 『現代俳句の世界13 永田耕衣~』(朝日文庫)より

《古書・古本の出張買取》 奈良・全適堂 の日記

『現代俳句の世界13 永田耕衣~』(朝日文庫)より

2021.04.12


昭和60年。

日のさして今おろかなる寝釈迦かな

踊り子にトマトのこれる畑かな

死近しとげらげら梅に笑ひけり

春の鶴真白き糞を落しけり

秋の野に立つて秋野を見ざるなり

みの蟲をかたちづくりぬ夕風は

机上より寒鮒釣の見えにけり

人ごみに蝶の生るる彼岸かな

父の忌にあやめの橋をわたりけり

人間のことのはにとぶ蝶々かな

降る雪に老母の衾うごきけり

まつくらに暮れてしづかや寒雀

夢の世に葱を作りて寂しさよ

朝顔や百たび訪はば母死なむ

或る高さ以下を自由に黒揚羽

冬を越し難き老母に日は照るも

柿を好き給ふ母ゆゑ慰め得

母死ねば今着給へる冬着欲し

百合剪るや飛ぶ矢の如く静止して

目白死す目白の聲に覆はれて

移動せむと緑蔭はまたうごめきぬ

死螢に照らしをかける螢かな

落ち百合を轢くとき花車高し

老梅を照らす老体一つ在り

餅生れて翁かたむきいたるかな

手を容れて冷たくしたり春の空


日記一覧へ戻る

【PR】  フラダンススクール   健康サポートクラブ  京かえら  Angelle (アンジェール)  小平ギターピアノ教室 花小金井校