《古書・古本の出張買取》 奈良・全適堂 | 日記 | 『加藤耕仔(花神現代俳句22)』(花神社)より

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《古書・古本の出張買取》 奈良・全適堂 の日記

『加藤耕仔(花神現代俳句22)』(花神社)より

2021.04.25



1998年。
「耕」主宰。

硝子戸の中の平穏黄落期

ゴーギャンの女等が声鮑舟

川鵜翔つ民話の渕の蒼きこと

身の中を潮が引きゆく秋の暮

轆轤挽く木地師の眉間鵙猛る

寄する波足裏に親し磯遊び

いつしかに母の齢や水中花

ラケットを二つ重ねてうまごやし

天地のはざまに瀧をかけ給ふ

膝ついて泉にゆらぐ影と居る

方尺の正座くづさず牡蠣割女

一条の光の天降る野水仙

やはらかき雪にこもりし杉のむら

春雪をふふめば五体けぶるかな

朴散つて天の高さのもどりけり

指一本ゆるめ結はへり細鵜縄

繙きし世阿弥の一書返り花

弥撒果てて寒星額に近くなる

青き踏む背骨一本たてとほし

杜若むかしをとこのよかりける

梅雨濡れの柱に吊す檜傘

夏は来ぬゴッホの焔立つ杉木立

婚の燭焔をたつるとき薔薇真紅

小鳥来る宝物倉に黒き鍵

一本の筆を机上に初御空

一行にこだはり過ぎし寒三日

肩の辺に初蝶を連れ少年来

まなざしを遠ちに鳥笛春の空

灯台の見えて坂照る花海桐

眼前をこつと消えたる黒揚羽

若鮎の飴煮つめゐる小暗きに

父母の墓を小さく雁渡る

湯豆腐や身の中いつか暮れそめし

最澄の山空海の里烏瓜

光琳の風のうねりに金の萩

磔像の闇新緑の香を放つ

蝉鳴いてこの世をことにはるかにす

月光へ笛よこたふる膝頭

久女忌の女の性を云々す

眉少し囀る方へあげにけり

少年の眉堅香子に触れゐたり

土間に杖束ねてねかす遍路宿

鳶描く大き輪の中野に遊ぶ

その縁に蝶の遊べる潦

棹舟の音なく過ぐる花の雨

こごみ摘む貨車過ぐるたび髪吹かれ

はくれんの百花閃く闇の中

蝉の声杖一本を先達に

瀧音にみひらく眼打たれをり

蓮大葉昨夜の雨粒宿したる

落葉踏むおとほのぐらき氷室跡

山住みの五平炉話でかいこと

波に打つ光の楔冬鷗

黄葉掃くいづれ寒山拾得か

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