《古書・古本の出張買取》 奈良・全適堂 の日記
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『子規遺稿 子規句集』(ほるぷ)より
2021.07.12
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昭和55年の復刻版。
大三十日愚なり元日猶愚なり
めでたさも一茶位や雑煮餅
日一日同じ處に畠打つ
涼しさや瀧を茶に煮る瀧の茶屋
夏嵐机上の白紙飛び盡す
舌頭に千轉するや汗の玉
子は寝たり飯はくふたり夕涼
蝉に遠く蛙に近し裏二階
眠らんとす汝静に蝿を打て
夕暮の小雨に似たり水すまし
草花を壓する木々の茂かな
瓜好きの僧正山を下りけり
秋立てば淋し立たねばあつくるし
ある僧の月も待たずに帰りけり
芒伏し萩折れ野分晴れにけり
御佛に供へあまりの柿十五
三千の俳句を閲し柿二つ
大寺の縁廣うして小春かな
寒からう痒からう人に逢ひたからう
日のあたる石にさはればつめたさよ
手をちゞめ足をちゞめて冬籠
いくさから便とゞきし炬燵かな
鴛鴦の向ひあふたり並んだり
枯葉朽葉中に銀杏の落葉かな