《古書・古本の出張買取》 奈良・全適堂 の日記
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高橋孝三『句集 坪庭』(東京四季出版)
2021.07.16
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平成19。
「きりん」会員。第1句集。
夕刊に枝豆一つ零れけり
西陣の機音越ゆる大暑かな
村人の目覚めは早し山桜
まんさくの咲きて国際会議かな
廃校の今日は賑はふ盆踊
水仙や柾目の通るカウンター
月下美人むかし郭の大座敷
声あげて鉾まで届く粽売り
秋刀魚焼く路地の奥から機の音
生涯の平屋暮しや鵙高値
着膨れて肌身離さぬ鍵一つ
武者震ひして噴水の立ち上る
坪庭は終の栖やひきがへる
大滝の落ちて大空真青なる
弘法さん天神さんも時雨けり
雲水の笠に北山時雨かな
大徳寺門前町の冷奴
賀茂族の末裔と言ふ酢茎売り
ゆつくりと回転ドアーを押す師走
白梅や父の残せし家継ぎて
老の身に進級もなし四月馬鹿
到来の筍今朝の土付けて
丸善の消えて檸檬を齧りけり
朝夕に打水をして京男