《古書・古本の出張買取》 ロバの本屋・全適堂 の日記
-
志賀松声『句集 競べ馬』(角川書店)より
2021.07.25
-
平成20。
「風」「雉」同人。第1句集。
絞る矢に頬ひきしめて弓始
六波羅に垂れ乳寒き奪衣婆
涅槃図の裾の蝋燭象照らす
清凉寺いま開帳の鉦太鼓
縄跳びの子の長き影草紅葉
流鏑馬の的をとらへしこだまかな
勝馬をしづめて繋ぐ楠大樹
駅毎にあきつ飛び交ふ宮津線
棚経や何でも入る頭陀袋
金閣の大揺れ真鴨着水す
声あげて禰宜落馬せり賀茂祭
春昼の赤子指より目ざめたり
十二神将燭それぞれに年新た
水涼し社家に石橋一つづつ
いぼむしり身がまへしままこときれし
つくばひの厚き氷や開戦日
みづすまし進み進みて同じ位置
屋上の稲荷神社に小鳥来る
灯を下げて菊人形を着せ替へる
湯豆腐に昆布残して会終る
托鉢僧雪の宇治橋一列に
啓蟄や鉢の植木を地に移す