《古書・古本の出張買取》 奈良・全適堂 | 日記 | 島野紀子『句集 青龍』(ふらんす堂)より

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《古書・古本の出張買取》 奈良・全適堂 の日記

島野紀子『句集 青龍』(ふらんす堂)より

2021.08.03



2018年。
「知音」同人。第1句集。

鉄棒に毛糸のパンツ回りをり

ひらがなの「つ」から習ふや入学児

若葉風いまだ素振りと球拾ひ

店主また帳簿取り出す驟雨かな

うす笑ひまたうす笑ひ昼寝の子

夜店の子何に機嫌を損ねしか

宵山にくり出せ塾も休みなり

陽に当ててやらねば夏期講習の吾子

いそいそと祖母が西瓜を子に運ぶ

星祭注文多き女達

文語体聖書美し虫時雨

秋冷や抱きしめて子を起こしけり

お手伝ひするが宿題冬休

福笹を椅子に座らせ喫茶店

七味もう一振り寒さ乗り切らん

雪つぶて投げて明日を明るくす

走り書き夫に残して梅を見に

春泥を拭かうか涙ぬぐはうか

孕鹿片耳こちら向いてをり

緑蔭に斎王代の母の立つ

銀漢は賀茂川となり鴨川へ

秋高し走る読む吹く鴨河原

飾売錦市場の軒を借り

本を買ひなさいと添へてお年玉

卒業証書受く制服の袖短か

口笛とすれ違ひたる街薄暑

変声期終へ反抗期栗の花

鉾稚児の母人の波打ち際に立つ

来る者は拒まず浜の焚火かな

父のでも兄のでもなく毛糸編む

尻と尻ぶつかり合うて種物屋

三月や話しておかねばならぬこと

三尺寝あと一仕事二仕事

家元を一門が待つ貴船川床

渋々も嫌々も連れ盂蘭盆会

梨剥くやまづ一片を虫籠に

母の居てちちろ虫居て生家かな

吉田寮より大音量の虫時雨

時代祭まばたきをもて返答す

万枚の甍震はせ除夜の鐘

松飾主がよしといふ高さ

山笑ふ喧嘩両成敗は無理

合格子夜更けても目の冴ゆるまま

女子高の階段一段ごとパンジー

桜漬恥づかしさうにほぐれゆく

竹皮を脱ぐや男の子も櫛を持ち

娘の浴衣迷ひに迷ひあげく藍

シスターと一つ日傘に立ち話

夕立やグローブしかと胸に抱き

秋簾巻くや叡山見ゆるまで

借りものは「美しき母」運動会

顔見世や幼帝洟をすすりつつ

志ばかり高き子大旦

ぼろ市や買ふでなく買はぬでもなし

ぼろ市や値を問へば値を考へる

シスターがマドレーヌ焼く春隣

京大の構内御免追儺鬼

役一つ終へ二つ増え春の雲

なにもかも朧京にて暮らすこつ

もぢもぢの隣あたふた新入生

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