《古書・古本の出張買取》 ロバの本屋・全適堂 の日記
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古寺靖子『句集 桜貝』(玉梓発行所)より
2021.09.03
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令和3。
「玉梓」同人。第1句集。
昭和の日新しき季語生まれけり
流氷を割つてひとすぢ日矢の帯
水落す一幕もあり夏芝居
散水車七色の水うねらせて
時の日の花も新たに花時計
蘭鋳の尾鰭ふはりと魔性めく
ちぎれ雲呑み込みさうな鯉のぼり
向かう岸仲間はづれの曼殊沙華
衿立てて冬将軍を連れ歩く
聖堂の静か聖歌を歌ひ終へ
一羽飛び一群続く初雀
鰯雲風紋遥か彼方まで
村の灯の刈田道よりひろがりぬ
優勝に白き歯を見す炎天下
風の音変はりいよいよ冬来る
初春や日本の平和かみしめて
手をつなぐ双子揃ひの夏帽子
林檎剥く紅のリボンを解くやうに
熱湯に見る見る緑新若布
足で蹴り足で探るや夏蒲団
ローソクを消して二人のクリスマス