《古書・古本の出張買取》 奈良・全適堂 | 日記 | 刈米育子『句集 行方も花野』(文學の森)より

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《古書・古本の出張買取》 奈良・全適堂 の日記

刈米育子『句集 行方も花野』(文學の森)より

2021.10.13



平成16年。
「懸巣」同人。第1句集。

月涼し駅の広場のギター弾き

山焼の残せし一樹風集ふ

綿菓子を買ふメーデーの最後尾

不倫願望ドラマに託す夜長かな

人待ちて聖樹とともに点滅す

ダイエット明日に誓ひて餅を焼く

伸べし手に螢指輪となりにけり

八ヶ岳(やつ)を背に騎馬のパレード天高し

こすもすや体験乗馬の背を正し

ボス猿の古都一望の日向ぼこ

寒の月照らす麻酔のデスマスク

行く春や母の遺せし靴の数

一瞬の医師の沈黙うそ寒し

床磨く冬の日差しを擦り込んで

かなかなや夫病みて得しふたり刻

冬雲や夫の除籍を届け出て

喪の妻にむしろ寧けき冬の雨

亡夫(つま)の眼となりて今年の花巡る

触るる人なき髪洗ふ夜の静寂

原爆の絵に佇ち扇とまりけり

御嶽の天へ継ぎ足す雲の峰

屠蘇酌むや戸主となりたる背を正し

冬晴や男子育てて勝気なる

光背に蚊をかくまへり廬舎那仏

京をんなともなりきれぬ髪洗ふ

剣劇にほどよき時雨映画村

着ぶくれて裸のマハにまみえけり

フラメンコオーレに終り冬の汗

風光るギリシャの山河神話充つ

神殿の朽ちし春野に山羊放つ

啓蟄やすんなり立ちし生卵

プロポーズされしその日も花月夜

灯されて秋の噴水勢ひづき

バスのどかコイン不足を負けくれて

ブローチにしたき梵字や緑さす

海風や天へ階なす花みかん

風鈴や直哉旧居の二間きり

寝ねがての明日香の静寂おどし銃

利かん気に漕ぐ三輪車落葉道

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